原本還付の方法

相続登記申請における「原本還付」とは、登記申請時に提出した書類(例:戸籍謄本や遺産分割協議書など)の原本を、手続き完了後に返却してもらう手続きのことです。以下に概要を説明します。

原本還付が可能な書類

登記申請において必要な書類のうち、下記のような書類は、原本と共にコピーを添付することで原本を返却してもらえる場合があります。

  • 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
    遺産分割協議や法定相続人の確認に必要な書類です。
    ※相続登記申請において、相続関係説明図を作成して申請書と共に法務局に提出した場合は、コピーを用意しなくても原本を返却してもらえます。
    ※さらに、法定相続情報証明制度を利用して、戸籍謄本の提出を省略する方法もあります。
  • 住民票または戸籍の附票
    相続人の住所確認などに用いられる場合があります。
  • 遺産分割協議書
    相続人全員で作成した協議書が対象です。
  • 相続人の印鑑証明書
    遺産分割協議書に添付したものが対象です。
  • 固定資産評価証明書

原本還付の具体的な手続き方法

1. 原本とその写し(コピー)を提出する

提出する書類の原本と、それを正確にコピーしたもの(全ページ)が必要です。 コピーした書類を一つにまとめてホチキスをし、すべてのページの境目に契印します。また、書類の1枚目余白に「原本に相違ありません。」(原本の写しであることを表す)と書いて署名押印します。

2. 原本とコピーの照合

法務局へ提出後、法務局では原本とコピーが照合されます。照合が完了したら、コピーが登記申請書類として扱われ、原本は返却されます。

3. 原本の返却

通常、登記完了後に原本が手元に戻ってきます。返却方法は窓口または郵送(返信用封筒の添付が必要)です。

原本還付のメリット

交付手数料の節約

相続手続きにおいては同じ書類を別の手続きで求められることがあるため、通常であれば、手続きの数だけ同じ書類を取得する必要があります。しかし、原本還付を行えば、同じ書類は一通ですむため、書類を取得する際の交付手数料を大幅に節約することができます。

同じ書類を追加で取得する手間が省ける

手続きに必要な書類を追加で取得するのは大変です。特に、戸籍謄本は同じ場所で全て取得することができない場合もあるため、再取得するのに時間がかかります。そこで、原本還付を行うことで、その手間を省くことができます。

注意点

登記が完了するまで返却されない

原本還付の手続きは登記完了後に実施されます。手続き中は返却されません。

コピーは正確である必要がある

書類の内容が不完全、または不明瞭な場合は、原本還付が認められないことがあります。

法務局によって運用が異なる場合がある

一部の法務局では、具体的な運用や要件が異なることがあるため、事前に確認しておくことをお勧めします。