遺留分とは

遺留分とは?相続人を守る最低限の権利を解説

遺留分(いりゅうぶん)とは、相続人に最低限保障される相続財産の取り分を指します。被相続人(亡くなった方)が遺言書などで自由に財産を分配する場合でも、遺留分によって特定の相続人が不当に排除されないよう、法律で保護されています。この制度は、相続人の生活を守るために重要な役割を果たしています。

遺留分が認められる目的

遺留分制度の目的は、相続人が生活の基盤を失わないよう最低限の財産を確保することです。たとえば、被相続人が全財産を特定の相続人や第三者に遺贈した場合、他の相続人の救済手段として機能します。この仕組みにより、相続人間の公平性が保たれることを目的としています。

遺留分を請求できる相続人

遺留分を主張できるのは、以下の法定相続人のみです。

  1. 配偶者
  2. 子ども(直系卑属:子や孫)
  3. 父母(直系尊属:親や祖父母)(子どもがいない場合)

※ 兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

遺留分の割合

遺留分は、相続人の構成によってその割合が異なります。以下のケースで具体的に見てみましょう。

配偶者と子どもがいる場合

  • 遺産全体の 1/2 が遺留分の対象です。
  • 配偶者と子どもの法定相続分に応じて分配されます。
  • 例:配偶者が 1/4、子ども1人が 1/4。

配偶者のみの場合

  • 遺産全体の 1/2 が遺留分に該当します。

父母のみの場合

  • 遺産全体の 1/3 が遺留分となります。

子どものみの場合

  • 遺産全体の 1/2 が遺留分の対象です。

遺留分侵害額請求権とは

2019年の法改正により、「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」という名称に変更されました。この変更により、侵害された遺留分は金銭で請求することが基本ルールとなっています。

請求の流れ

  1. 遺留分侵害を受けた相続人が請求
    遺言内容や生前贈与によって遺留分が侵害された場合、侵害を受けた相続人が請求を行います。
  2. 話し合いによる解決
    基本的には金銭で解決しますが、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停手続きを行うことができます。

遺留分の請求期限

遺留分侵害額請求権には、以下のような時効が定められています。

  • 侵害を知った時から1年以内
  • 相続開始(被相続人の死亡)から10年以内

これを過ぎると、請求する権利は失効しますので注意が必要です。

遺留分に関する注意点

  • 専門家への相談が有効
    遺留分の計算や請求手続きは複雑になる場合があります。弁護士や司法書士などの専門家に相談することでスムーズに進めることができます。
  • 生前の話し合いが重要
    相続人間のトラブルを避けるため、被相続人が生前に家族と話し合い、遺言書を作成することも推奨されます。
  • まとめ
  • 遺留分は、相続人を保護するための重要な制度です。相続においてトラブルを避けるためには、事前の準備や専門家のアドバイスを受けることが大切です。不安があれば早めに相談し、適切な対応を心掛けましょう。