遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違いと重要性
相続登記や遺産分割を進める際、法定相続分に従わずに遺産を分割する場合に必ず登場するのが「遺産分割協議書」と「遺産分割協議証明書」という書類です。これらの書類は似た役割を果たしますが、具体的な作成手順に違いがあります。この記事では、それぞれの目的や内容、作成時のポイントをわかりやすく解説します。
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の目的
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は、いずれも相続人間で合意した遺産の分割内容を正式に記録するための書類です。
これにより、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、不動産の名義変更や預金の引き出しなどの相続手続きをスムーズに進めることができます。
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違い
1. 署名・押印の方法
- 遺産分割協議書
相続人全員が1枚の書類に署名・押印します。
- 遺産分割協議証明書
全相続人1人ごとに個別に作成し、それぞれが署名・押印します。
2. 利便性
- 遺産分割協議書は、1枚に全員の署名が必要なため、相続人が遠方に住んでいる場合や人数が多い場合には作成が煩雑になることがあります。
- 遺産分割協議証明書は、各相続人が個別に書類を作成できるため、遠隔地に住む相続人がいる場合に便利です。
遺産分割協議書・遺産分割協議証明書の共通する内容
両方の書類には、以下の情報が含まれます。
- 相続人の情報
相続人全員の名前、住所、被相続人との続柄
- 相続財産の詳細
不動産、預貯金、株式などの財産とその分割内容
- 分割方法
各相続人が取得する財産や負債の分け方
- 協議の日付
協議が行われた日付を明記
- 署名・押印
合意内容を証明するために相続人全員が署名・押印
遺産分割協議書・協議証明書の作成手順
1. 遺産の調査
- 不動産や金融資産など、被相続人が残した財産を調査します。
- 不動産登記簿や金融機関の明細を確認します。
2. 相続人全員の合意
- 遺産の分け方について相続人全員で話し合い、合意します。
3. 書類の作成
- 合意内容をもとに、遺産分割協議書または協議証明書を作成します。
- 書類の形式や内容は専門家(司法書士や弁護士)に依頼することで、確実性が高まります。
4. 署名・押印
- 協議書の場合、相続人全員が1枚の協議書に署名・押印を行います。協議証明書の場合、相続人ごとに個別の証明書に署名・押印を行います。
5. 保管および提出
- 作成した書類は各相続人が保管し、必要に応じて法務局や金融機関に提出します。協議証明書の場合、各機関へ提出する際は、署名・押印された証明書を相続人全員分集めて提出します。
作成時の注意点
1. 全員の合意が必須
相続人の中に1人でも署名や押印を拒否する人がいる場合、書類は無効となります。
2. 内容の正確性が重要
財産の分割内容を具体的かつ正確に記載することで、後のトラブルを防ぎます。
3. 専門家への相談
財産が多岐にわたる場合や複雑な状況が絡む場合、司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。
遺産分割協議書・遺産分割協議証明書の重要性
1. 法的効力を持つ証拠書類
作成された書類は、相続人全員が合意したことを証明する法的効力を持ちます。
2. 相続手続きの必須書類
不動産の名義変更や銀行口座の解約など、相続手続きの多くで提出が求められます。
3. トラブル防止
書類があることで、相続人間の争いや誤解を防ぐことができます。