相続登記は、不動産を被相続人(故人)から相続人へ名義変更する重要な手続きです。相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、通常の相続登記とは異なる対応が必要になります。本記事では、相続放棄が発生した場合の相続登記手順や、相続放棄をした人が行うべき対応について詳しく解説します。
相続放棄を行った人は、法律上、最初から相続人ではなかったとみなされます。そのため、相続放棄をした人は不動産の相続に一切関与できなくなります。そして、相続放棄が発生した場合には、他の相続人や次順位の相続人が関与する形で登記手続きを進める必要があります。
相続放棄をした人がいる場合の不動産の相続登記手続きは以下の通りです。
相続放棄をした人がいる場合、法定相続人が変わります。以下の手順で相続人を確定してください。
相続放棄をした場合、第二順位の直系尊属(両親や祖父母)が相続人になります。
相続放棄をした場合、第三順位の兄弟姉妹が相続人になります。
法定相続人がいない状態となり、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が手続きを行います。
相続放棄があったことを証明するため、以下の書類を準備します。
家庭裁判所から発行される書類で、相続放棄が受理されたことを証明します。
相続人全員の確認を行うために必要です。
登記簿上の被相続人と戸籍謄本上の被相続人と結びつけるために必要です。
相続人が誰であるかを証明します。また、不動産を相続する相続人は住所証明情報として住民票を準備する必要があります。
相続放棄をした人は協議に参加できません。残された相続人だけで不動産を含む遺産の分割内容を決定します。この際、全員の合意を文書化した遺産分割協議書を作成する必要があります。
相続人が確定し、分割内容が決まったら、必要書類を揃えて法務局に申請します。登記の際には、相続放棄を証明する書類も一緒に提出します。
相続放棄をした人にも、相続手続きにおいて一定の対応が求められる場合があります。
相続放棄を行った場合、その情報を速やかに他の相続人に共有することが重要です。相続人間の認識違いによるトラブルを防ぐため、通知書の写しを提供することが推奨されます。
次順位の相続人が確定するまでの間、遺産(不動産を含む)を適切に管理する義務があります。この義務を怠ると、次の相続人や利害関係者から責任を追及される可能性があります。
相続放棄をしても、遺産分割に必要な情報提供や書類確認などで協力を求められる場合があります。特に、放棄した人が被相続人の近親者であった場合、財産内容を把握していることが多いため、協力が求められることがあります。
相続放棄をした人は、正式な管理者が決まるまでの間、不動産の管理責任を持つことを理解しておく必要があります。
複数の相続人が相続放棄を行うことで、相続権が次順位の相続人に連鎖するケースでは、手続きが複雑化します。専門家に相談することをお勧めします。