自筆証書遺言は、遺言者が自分で手書きで作成する遺言書の一つです。自分の意思を直接表現できる方法で、他の遺言書と比較して費用がかからず、手軽に作成できるため、利用者が多い形式です。しかし、その分注意が必要な点も多いので、以下に自筆証書遺言の特徴、作成方法、メリット・デメリットを詳しく説明します。
自筆証書遺言は、遺言者が自分で全文を手書きする必要があります。パソコンで作成したり、他の人が書いたものは無効とされます。
遺言書には必ず遺言者の署名押印と日付を記入しなければなりません。この署名押印と日付がないと無効とされます。
自筆証書遺言は遺言者が自由に内容を決めることができ、相続人や遺産の分割方法、遺言執行者の指定など、あらゆる内容を盛り込むことが可能です。
自筆証書遺言を作成するためには、以下の手順を踏む必要があります。
自筆証書遺言は、自分で書けば費用はほとんどかかりません。公証人や証人を立ち合わせる必要もないため、非常に手軽に作成できます。
他の形式に比べて、遺言者が自由に内容を記入できるため、具体的で個別的な指示を遺言書に盛り込むことができます。
作成の手続きが簡単で、誰でも比較的手軽に遺言書を残すことができます。
自筆証書遺言は、遺言者の署名押印や日付がない場合、あるいは内容に誤りや不備がある場合、無効になる可能性があります。
正確な書き方や形式に注意しなければ、遺言として有効と判断されないことがあります。
自筆証書遺言は、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で「検認」手続きが必要になります。この検認手続きには基本的に2週間~1か月程度かかるため、遺言の効力が発生するまで時間がかかります。
自筆証書遺言は遺言者が保管するため、紛失や破損、隠匿などのリスクがあります。例えば、家族が遺言書を見つけられず、遺言書の発見前に遺産分割が完了してしまった場合、遺言書に則らない形で相続が完了する場合があります。
自筆証書遺言には証人がいないため、遺言書の有効性を疑われた場合には証明が難しい場合があります。遺言書が本当に遺言者自身のものであるかを確認するために、裁判で筆跡鑑定などの証明が求められることがあります。
特徴 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
---|---|---|
作成方法 | 自分で手書き | 公証人が作成 |
署名押印・日付 | 必要 | 必要 |
証人 | 不要 | 必要(証人2名以上) |
検認 | 必要(家庭裁判所で検認) | 不要 |
費用 | ほとんどかからない | 公証人手数料がかかる |
信頼性 | 法的要件を満たさないと無効の可能性 | 高い(公証人が確認) |
保管方法 | 遺言者自身で保管 | 公証役場が保管 |
文字や日付を間違えないように気をつけましょう。重要な記載内容に誤りがあると、無効となる場合があります。
署名押印や日付を忘れると遺言が無効になってしまいます。必ず自分の名前を署名し、作成した日付も記入するようにします。
自筆証書遺言は、紛失や改ざんのリスクがあるため、安全な場所に保管する必要があります。信頼できる人に預けるか、遺言書専用の保管場所を設けると良いでしょう。