寄与分とは

寄与分とは?相続における特別な貢献を反映させる制度

相続の際、故人(被相続人)に対して特別な貢献をした相続人が、その貢献を評価されて相続分を増やすことができる制度が「寄与分(きよぶん)」です。この制度は、他の相続人と比べて特に大きな労力や資金を提供した相続人に対し、公平を図るために設けられています。

寄与分が認められる相続人とは?

寄与分は、法定相続人に限り認められます。これには、配偶者や子ども、親などが該当しますが、故人の友人や知人、さらには法定相続人でない親族(例えば、嫁や孫など)は対象外です。
ただし、2019年の民法改正により、法定相続人ではない親族でも「特別寄与料」を請求できるケースが設けられました。この点も考慮に入れる必要があります。

寄与分が適用されるケース

寄与分が認められるのは、故人の財産の維持や増加に具体的かつ特別な貢献をした場合です。具体例として以下のようなケースがあります。

  1. 被相続人の事業を支援した場合
    例:家業(農業、商業、企業経営など)を無報酬、もしくは少額の報酬で長年手伝い、事業の拡大に貢献した場合。
  2. 金銭や財産の提供
    例:被相続人が住宅を購入する際に資金援助をしたり、借金を肩代わりした場合。
  3. 介護や生活支援
    例:長期間にわたり、被相続人の介護や看護を行い、その生活を支えた場合。
  4. その他の財産の維持・増加への貢献
    例:不動産や資産管理を行い、その価値を保全・向上させた場合。

寄与分が認められるための要件

寄与分を主張するには、以下の条件を満たしている必要があります。

  1. 法定相続人であること(民法1050条による例外有)
    法定相続人以外には寄与分は認められません。
  2. 特別な貢献があること
    日常的な世話や同居といった一般的な行為ではなく、財産上の明確な貢献が必要です。
  3. 貢献と財産増加・維持の因果関係があること
    行為が故人の財産の維持や増加に直接関与していることを証明する必要があります。

寄与分の手続きと算定方法

寄与分を主張する場合、以下の手続きが一般的です。

  1. 遺産分割協議での主張
    相続人全員で話し合い、寄与分を考慮した遺産の分配方法を決定します。
  2. 家庭裁判所への申し立て
    協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立て、寄与分の有無や金額について判断を仰ぎます。

寄与分の計算例

遺産総額1,000万円、相続人がA(兄)とB(弟)の場合で、Aが寄与分200万円を認められたケース。

・Aの取得額:200万円(寄与分)+残り800万円の半分=600万円
・Bの取得額:残り800万円の半分=400万円

寄与分は遺産総額から先に差し引かれ、残りを他の相続人で分ける形になります。

注意点と寄与分の証明

寄与分を主張するには、貢献の具体的な証拠が必要です。例えば

  • 領収書や契約書
  • 日記やメモ
  • 関係者の証言

これらを準備しておくことが重要です。また、寄与分が遺留分に影響を与える場合、他の相続人との調整が必要になることもあります。

  • まとめ
  • 寄与分は、故人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人が、その努力を評価されて相続分を増額できる重要な制度です。しかし、その認定には具体的な証拠や他の相続人との協議が必要であり、時には家庭裁判所を通じた手続きが求められることもあります。
    寄与分についての具体的なご相談があれば、ぜひお問い合わせください。公平で納得のいく相続の実現をサポートいたします。