相続の際、故人(被相続人)に対して特別な貢献をした相続人が、その貢献を評価されて相続分を増やすことができる制度が「寄与分(きよぶん)」です。この制度は、他の相続人と比べて特に大きな労力や資金を提供した相続人に対し、公平を図るために設けられています。
寄与分は、法定相続人に限り認められます。これには、配偶者や子ども、親などが該当しますが、故人の友人や知人、さらには法定相続人でない親族(例えば、嫁や孫など)は対象外です。
ただし、2019年の民法改正により、法定相続人ではない親族でも「特別寄与料」を請求できるケースが設けられました。この点も考慮に入れる必要があります。
寄与分が認められるのは、故人の財産の維持や増加に具体的かつ特別な貢献をした場合です。具体例として以下のようなケースがあります。
寄与分を主張するには、以下の条件を満たしている必要があります。
寄与分を主張する場合、以下の手続きが一般的です。
遺産総額1,000万円、相続人がA(兄)とB(弟)の場合で、Aが寄与分200万円を認められたケース。
・Aの取得額:200万円(寄与分)+残り800万円の半分=600万円
・Bの取得額:残り800万円の半分=400万円
寄与分は遺産総額から先に差し引かれ、残りを他の相続人で分ける形になります。
寄与分を主張するには、貢献の具体的な証拠が必要です。例えば
これらを準備しておくことが重要です。また、寄与分が遺留分に影響を与える場合、他の相続人との調整が必要になることもあります。