公正証書遺言は、公証人が作成した遺言書で、法的効力が非常に強いとされています。公証人という公的な専門家が作成するため、遺言書の内容に関するトラブルが少なく、遺言者が安心して遺言を残すことができる方法です。以下では、公正証書遺言の特徴、作成手続き、メリット、デメリットについて説明します。
公正証書遺言は、公証人という国家資格を持った専門家が作成します。公証人は遺言の内容や形式が法律に従って正しいかどうかを確認します。
公正証書遺言を作成するためには、証人が2名以上必要です。証人は、公正証書遺言が作成される際に立会い、その内容を確認します。証人は遺言の内容に利害関係がない人でなければなりません。
公正証書遺言は、公証人が作成した段階でその効力が確定します。自筆証書遺言のように家庭裁判所での検認手続きを経る必要がないため、被相続人の死後に家族が開封しても問題ありません。
公正証書遺言を作成するためには、以下の手順が必要です。
遺言書に記載する内容を決めておきます。具体的な内容、例えば遺産の分割方法や相続人、遺言執行者などを整理しておきます。
公正証書遺言を作成したい場合、公証役場に事前にコンタクトをとり遺言書の内容を公証人と相談しながら決めることになります。また、実際に事前相談を行う前に、メールや電話などで必要な書類などを確認しておくことが重要です。この事前相談は、管轄の公証役場でなくともかまいません。
証人が2名以上必要ですが、通常、遺言者が依頼して用意することになります。未成年者や推定相続者などはなることができません。
公正証書遺言を作成するには、いくつかの書類を準備する必要があります。
公証人との事前相談により文案が決まったら、公正証書遺言を作成する日取りを予約します。
公証人が遺言の内容を確認した後、公証人と証人の立会いのもとで公正証書遺言を作成します。公証人が遺言の内容を読み上げ、その内容に誤りがないか確認します。
遺言者と証人が、内容に問題がないことを確認した後、署名し、押印を行います。これにより、正式な公正証書遺言が完成します。
作成された公正証書遺言は、公証役場に保管されます。遺言者が亡くなった際、相続人は公正証書遺言の検索システムにて公正証書遺言の有無を検索することができます。相続が発生したら、家族はまず公証役場にて公正証書遺言の有無を確認しましょう。
公正証書遺言は、形式や内容が法律に則って作成されるため、後々無効とされることが少ないです。信頼性が非常に高い遺言書です。
公証役場が遺言書を保管するため、遺言書が失われるリスクを避けることができます。
公証役場で原本が保管されるため買い残の恐れがないため、自筆証書遺言のように家庭裁判所での検認手続きが不要です。このため、遺言書の開示がスムーズです。
証人が遺言作成時に立会うことで、遺言書の内容に関してトラブルが発生しにくくなります。
公正証書遺言を作成する際には、公証人に支払う手数料が発生します。手数料は遺産の額に応じて決まりますが、ある程度の費用がかかる点がデメリットです。
遺言者自身が遺言の内容を事前に決めておく必要があり、また証人を準備する必要もあります。遺言書作成のために手間がかかる場合があります。
公正証書遺言は公証人と証人が関わるため、内容に関する秘密性が低くなります。遺言書の内容が周囲に知られてしまう可能性があります。
自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いた遺言書で、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。公正証書遺言は検認が不要で法的効力が高い点が異なります。
秘密証書遺言は、遺言内容を他人に知られずに作成できますが、公証人と証人の立会いがないため、公正証書遺言に比べて信頼性が劣ります。
公正証書遺言は、確実でトラブルが少ない遺言書の作成方法として、特に法的効力を重視する方に向いています。信頼性の高い手続きであり、遺言内容が明確に示されるため、相続に関する紛争を避ける手段として非常に有効です。