今回は、亡くなった親が公正証書遺言で「○○の土地建物をすべて孫に相続させる」と記していた事例を紹介します。
・Aさんの母親であるPさんが亡くなりました
・Pさんは生前孫であるAさんの子供B男をかわいがっていました
・Pさんは公正証書遺言で「持っている土地建物はすべて孫に遺します。」と記していました
Aさんは、Pさんの遺志を尊重してあげたいと思う一方、現時点で未成年であり不動産の管理ができないB男が名義人となるべきではないと考えていました。
また、B男は法定相続人ではないため、登記上は相続ではなく「遺贈」となり登録免許税が高くなる(0.4%→2.0%となる)こと・相続税が2割加算されること・不動産取得税が余分にかかることを鑑み、B男ではなくAさんが相続をすべきだと考えました。
ただし、下記の条件を満たす必要があります。
・他の相続人が誰一人として反対していないこと
・遺言書の中に「遺産分割を禁止する」旨の記載がないこと
※遺言では、相続開始から最大5年間の期間で遺産分割を禁止することが出来ます。
遺言書に従わない形で相続を行う場合、以下の点に注意が必要です。
・遺言書が自筆証書遺言である場合は、家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。
遺言書に従わないからと言って、見つかった自筆遺言書に検認を受けなくてもよいというわけではないのです。
・遺言執行者が指定されている場合、その解任・辞任が必要です。
相続というのは、法律や感情、実務面が絡む非常に複雑な問題です。
今回のように、たとえ遺言が存在していても、家族の合意や実務的な事情により柔軟に対応できる場合があります。
相続に関するご不安がある方は、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。
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